夢の中だけでもいいから私に愛を囁いて

懐かしい夢に繋がるもの


4月1日の朝、出勤しようと家を出たところで、お向かいさんで同じ会社に勤める幼馴染の今井陽介くんに会った。

彼は商品開発部に勤務している研究職のため、普段は本社ではなく研究所に在籍しているので、同じ時間に家の前で会うことはあまりない。

「よっ、乃愛。おはよう」

「おはよう。こんな時間に家を出るということは、今日は陽くんも本社に出勤なの?」

「そっ。社長の挨拶聞いて、その後の新人研修に参加するよう言われてるんだ。だから、一緒に行こうぜ」

「うん。6年目になると新人さんの指導とかするようになるんだね」

「うちの課には毎年新人が来ないから6年目だけど、早い人は3年目でも指導員になってたよ。乃愛だってどうなるか分からないだろ」

「そうか…今年は新人さんは来ないって聞いてるから私はまだ指導員にはならないよ。それに今年は部長が変わるしね」

「そっか、お前のところの部長は副社長になるんだっけ。次の人はどこから来るんだよ」

「シアトルから来るんだって聞いてる」

「海外帰りか…きっと優秀な人なんだろうな」

「…だね」

幼馴染で兄のような存在の陽介くんと駅まで並んで歩いていると、いつも昔に戻ったような感覚になり、会話も弾む。

でも、今日はこの前夢でみた京ちゃんのことが思い出され、気がつくとため息が出ていた。
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