雪の日
夏が過ぎ、秋が来て、三度目の冬を迎えた。
「すっげぇ綺麗ですね」
麗子に微笑むイケメンの美容師は鏡越しにそう言った後、「本当に切っちゃっていいんですか?」と躊躇いがちに尋ねた。
『麗子の髪すげぇ綺麗だよな』
麗子が隣に座ると、仁は決まって肩を抱き髪を撫でながらそう言った。
それがとても心地よくて――
仁の優しい目が好きで、髪を撫でる大きな手が好きで、スポーツで鍛え上げられた大きな体で覆い被さるように抱き締められると、底知れぬ安心感を覚えた。
しかし、三年という月日が、麗子からその感覚を少しずつ消し去ろうとしていた。
美容院を出ると、ちらちらと雪が舞っていた。
麗子は空を見上げて思う。
――積もるかなぁ。
「すっげぇ綺麗ですね」
麗子に微笑むイケメンの美容師は鏡越しにそう言った後、「本当に切っちゃっていいんですか?」と躊躇いがちに尋ねた。
『麗子の髪すげぇ綺麗だよな』
麗子が隣に座ると、仁は決まって肩を抱き髪を撫でながらそう言った。
それがとても心地よくて――
仁の優しい目が好きで、髪を撫でる大きな手が好きで、スポーツで鍛え上げられた大きな体で覆い被さるように抱き締められると、底知れぬ安心感を覚えた。
しかし、三年という月日が、麗子からその感覚を少しずつ消し去ろうとしていた。
美容院を出ると、ちらちらと雪が舞っていた。
麗子は空を見上げて思う。
――積もるかなぁ。