キミの次に愛してる【BL】


「そろそろ僕も、バイトくらいしようかな……」

 ぽつりと呟けば、義兄がピタリと箸を止めた。

「えっ。ウチってそんなに家計大変だったの?」

 ああー俺そういうの無頓着だからなぁー、とこめかみを掻いている。

 ごめんね、と謝りかねない義兄に、慌てて首を横に振った。

「いえそんな……。充分入れてもらってます」

「なら。そんな事言わないでよ。来年は受験だから、勉強も忙しくなっちゃうし」

 ああでも忙しくなってもご飯は作ってほしいなぁー、と甘えたように言う義兄の姿に、思わず笑ってしまう。

「大丈夫。高三になっても、ご飯くらい作りますよ」



 僕が十歳の時に、両親が交通事故で亡くなった。

 それからは、八歳年上の姉が一人で僕を育ててくれた。



 そんな姉の結婚相手への条件は、「弟と同居してくれる人」で。学生の頃から付き合っていたカレは、その条件が負担だと、プロポーズまでしていたくせに姉から離れていった。

 優しくて、弟の僕が言うのもなんだけど、美人だった姉の前には、恋人候補者が跡を絶たなかった。

 それでも僕を「養ってもいい」と言ってくれる人は、全然現れなかった。

 そんな姉が、二年前にやっと結婚して。

 相手は、裕文さんみたいな随分なお人好しで。

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