この病の治療薬
決して裕福ではないため、寺子屋へまともに行くこともできず、毎日畑を耕して働くことしかできない。算術はおろか、文字の読み書きすらまともにできない。

世間一般から見れば、碧は「頭の悪い娘」だろう。だからこそ、自分にできることを精一杯行動することができるのだ。そして、その思いは誰かに届く。人にも、そして人ならざる者にもーーー。

「病人がいらっしゃるのですか?ならば、私の出番ですね」

どこからともなく聞こえた声に碧は辺りを見回す。この神社には碧一人しかいないはずだ。だが、どこからか少年のような声がはっきりと聞こえてくる。

「神は病気そのものをなくすことはできませんが、病気になった人を救うことはできます。あなたの願い、私が叶えましょう!」

すると、突然碧の目の前が白く輝き始める。あまりの眩しさに碧は顔を手で覆い、目を閉じた。一体何が起きているのか、理解するのに時間がかかってしまう。

「な、何……?」

数十秒後に眩しさが消え、碧は恐る恐る顔から手を離し、目を開けてみる。すると、そこには信じられない光景があった。
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