闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
「おはよう、櫂人。待たせてごめんね」

「おはよう、恋華。……これくらい待ったうちに入んねぇよ」


 ヘルメットを片腕に抱えて佇む櫂人はもはやモデルの様で、朝から眼福だった。

 やっぱり夜の闇の方が似合う彼だけれど、陽の光の下であっても美しさは際立っている。

 カッコイイなぁ……と思わず見惚れていると、いつの間にかそばに来ていた櫂人に顎をすくわれた。


「え? あ、んっ」


 抵抗するヒマもなく、唇が塞がれる。

 唇の形を確かめるように舌でなぞられ、場所も忘れてゾクリと震えた。


「ん……昨夜一緒に寝られなかったことに比べれば、今の待ち時間くらいどうってことない」


 離れた唇で熱っぽく囁かれて、とろりと意識が溶けて行きそうになる。

 このまま身を任せたくなったけれど、何か視線を感じてふとそちらの方向を見たら。
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