闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
「ほらな? 幻滅しただろ?」

「え? いや、うーん……」


 苦笑気味に、でもちょっと面白そうに笑って聞いて来る櫂人に、私は否定しようとして無理だということに気付いた。

 少なくとも、素敵な女性というイメージは崩れてしまっていたから。


「で、でも。何か思っていたより親しみやすそうな人だね?」

「ははっ……確かに大体いつもそんな評価受けてたな。……まあ、憎めない人だったよ」


 そう言って少し悲し気な目で暗い海に視線を向ける櫂人。

 私もそれにならうように波の音だけが聞こえる海を見る。

 暗闇の向こうに、櫂人のお母さん――真理愛さんの姿を探すように。


 私ももう一度会ってみたいな……。

 あなたのくれた貝殻のおかげで、私は未来に目を向けられることができたんですって。

 そして櫂人とまた出会うことが出来たと、伝えたかった。
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