闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
 近付くと、彼はヘルメットを取りその黒い目で私を射抜くように見つめる。


「っ!」


 爽やかな朝だというのに闇を思わせる黒髪と黒い瞳。

 太陽の光を両耳につけられたシルバーのリングピアスだけが反射していた。

 本当に人間なの?って思ってしまうくらい綺麗な顔に、私は息を呑んだ。


 暗くて綺麗なその人を怖いと思う。

 でも、そんな闇にどこか惹かれてしまう自分もいた。


「……お前、見ない顔だな?」


 発せられた声もゾクリとするほど良い声で、ドキドキと鼓動が早まる。

 怖いからなのか、惹かれているからなのか、緊張に震える声で私は彼の問いに答えた。


「あ、私、今日から海燕高校に編入するので……」

「ふぅん……」


 そのまま上から下まで観察するように見られて、居心地が悪い。
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