【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 でも誰も話しかけてこないとか……。

 愛良の様子だと結局友達も出来なかったんだろう。


 何よそれ、私より状況悪いじゃない。


 自分には嘉輪が話しかけてくれて助かったと思う一方、愛良のクラスには嘉輪みたいに話しかけてくれる人がいないなんてどういうことだと憤慨(ふんがい)していた。

 でもそんな私とは対照的に嘉輪は冷静に話を進める。


「……愛良ちゃん三年だよね? 何組?」
「え? あ、一組です」
「一組なら(かがみ)がいたはずだけど……ってそっか、あの子今日は用事あって休んでるんだっけ」

 何やら疑問を口にして自分で答えているけれど……。

「その鏡って子がVH生なの?」
 話の流れから予測してそう聞いてみた。

「ええ、そうよ。ちょっとクセのある子だけどいい子だし、愛良ちゃんのいい友人になってくれると思うわ」
「そうなんだ」

 相槌を打ちながら、クセのあるってところが少し気になるけれど、と密かに不安に思う。
 でも初日から友達が出来ないのは困る。

 学園に慣れるためにも。
 何より、愛良が安心して学園に通うためにも。


 友達は愛良自身に見つけて欲しいと思っていたから口は出さないつもりだったけれど、今日の様子を考えるとそうも言っていられない状況だと思う。

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