【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

戦いの裏で

 とりあえず他の皆も心配だったため、カラオケ店まで戻ることにする。

 有香は無反応だったけれど、手を引けば歩けたので一緒に連れて行った。


 カラオケ店は異様な雰囲気だった。

 どこの部屋も歌っているような様子はなく、十数人が慌ただしく走り回っている。

 見覚えのある人もいたから多分味方だろう。


「聖良ちゃん⁉」

 そう私を呼んだのは津島先輩だった。

「聖良⁉」

 そして津島先輩のすぐ近くにいた田神先生も私に気付き反応する。


「どうして? いや、良かった」
「佐久間といるってことは波多に助けてもらえたのか?」

 走って近付いてきた二人は驚きつつも私の無事を喜び、そして予測する。


「はい、嘉輪は今愛良を助けに行ってもらってます」

 そう答えた私に二人は安堵の息を吐いた。


「波多さんが行ったのならよっぽどでない限り大丈夫だろう」

「それに愛良ちゃんのところになら零士も行ってるはずだからな」


「零士も? じゃあ石井君も助けに行けたの?」

 俊君と浪岡君はしっかり拘束されて無理だったのに。

 そう思いながら状況が違ったのかな? と考えていると後ろから声が聞こえた。

「……いや、行けたのは零士だけだ」

「石井君?」

 振り返ると話題の人物がいた。


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