【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 私の言い分に何か言葉を返そうとした田神先生だったけれど、その前にドアがノックされた。

「……来たか、入って来ると良い」

 ノックをした人物に声をかけると、田神先生はすぐに私に視線を戻した。


「丁度良かった。君の婚約者候補については彼も無関係ではないからね」

「え?」


 彼……って、誰?


 疑問に思い、ドアに視線を向ける。

 その彼というのが誰なのか……。


 ドアを開けて入ってきたのは、見知っているのに見慣れない顔立ち。

 人間だと思っていたのに、実は吸血鬼だったという前の学校の同級生。


 気まずそうな表情で現れたのは、美形度が増した吸血鬼の忍野君だった。
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