【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 もし鬼塚先輩の語る岸の方が事実なら、あれだけ私に執着するのはなんでだろう。

 あんな、十個ものキスマークを残すほど――。


「っ!」

 当然ながらもう消えてしまったけれど、あの時のキスマークの数を思い出すと今でもカーッと熱が上がって来る。

 単純に恥ずかしいのはもちろんだけれど、あの得体の知れない熱がずっと私の中に潜んでいる。


 私が岸に対して思うのは怒りの感情だから、多分その熱は奴に対する怒りだろうって思ってる。


 だから私はその熱を原動力に今日も空手を頑張るんだ。

 あのにやけた顔面ぶちのめすために!


「はぁっ!」

「力入り過ぎだっての!」

 でも、怒りが強すぎるのかまた怒られてしまった……。
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