【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 ドアのところから顔を出したのは、言葉の通り私を迎えにきた永人だ。


 私の学園生活は比較的平穏ではあるものの、永人はそうもいかなかった。

 永人は現在学園を退学させられている状態。

 だから本当ならこんなふうに学園内に入ってくる事は出来ないんだけれど、私の従者という扱いを利用して毎日こうやって迎えに来ている。


 私はクラスメイトにさよならの挨拶をすると永人のもとへ行った。

「永人、教室まで来なくていいっていつも言ってるでしょう?」

「知るかよ。授業中は離れるの我慢してやってんだ。終わったら近くに来たっていいじゃねぇか」

「いや、でもみんな反応に困っちゃうから……」

 そう言いながら周囲の様子を伺い見る。


 ほとんどの人が口を閉ざして永人に注目していた。

 その様子は腫れ物でも扱うかのよう。

 みんなどう反応していいのか困っている感じだ。


 でもそんな周囲のことなんて永人は気にしない。

「それこそ知るかよ。大体俺はお前の従者だぜ? 本当なら常に近くにいてもいいはずだ」

 それどころかそう言って授業中ですらそばにいようとする。

 周りを気にしなさすぎるのもどうかと思う。


「授業中は絶対にダメ! 集中できなくなりそうだから」

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