【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 いつも人を食ってかかっているような永人だけれど、鬼塚先輩や嘉輪にはたまに負けてしまうみたい。

 そんな新しい発見をして少し嬉しい気分になりながらも、私は考えることが多いなぁと小さくため息をつく。


 色々と納得してもらえていない元婚約者候補の人達のこと。

 永人と私の仲を認めてくれない一部の大人達。

 そして“花嫁”に純血種の血を入れるのは《禁忌》だと言う嘉輪のお父さんの話。


 向き合わなきゃならないこと、放置してもいいこと、どうしていいのかも分からないこと。

 いろんな問題がまだ残っている。

 それらを考えると憂鬱になるけれど、残したままにはできない事だ。


 だから、ちゃんと最良になる様に考えよう。

 全部が上手く行くとは思えないけれど、少しでも良くなる様に。


 私は大切な恋人と友人のやり取りを聞きながらそんな決意をしていた。
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