【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 それは、吸血鬼なら本来誰もが持っている共通認識。


「そんなことを(くわだ)てるのは、いつも権力者のくだらない思惑だ」

 さらにキッパリと切り捨てられたことで、田神先生は何も言えなくなる。


 朔夜さんはそんな彼から視線を外し私を見た。


「とにかく、今後何らかの形で始祖の力を使えるようになるかもしれない。そのときはまた様子を見に来ることにしよう」

「……はい、よろしくお願いします」

 そうして私の現状を知るためのお話は終了した。


 そのあとは報告をしに行くという田神先生だけ席を外し、お茶を飲みながらの歓談タイムになる。

 ご両親が揃っているから、自然と嘉輪の話をした。


 学園や寮での様子を話したり、逆に家での嘉輪の様子を聞いたり。

 それと、望さんのお腹の子は男の子らしいってこととか。

 嘉輪は「弟かぁ、正樹みたいな感じかなぁ」と笑っていた。



 私の今後の状態がどうなるのかとか、田神先生が今日の話を聞いて何を思ったのかとか。

 気になることは多々あったけれど、今はそんなほのぼのした話題を楽しんでいた。
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