元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。

第十八話


「なぜもっと早く言わないのです。立派な脅迫ではないですか」

 呆れたように言って先生はガタリと椅子から立ち上がった。
 
「すぐに寮長にこのことを」
「い、いえ、いいんです先生!」
「よくありません。何かあってからでは遅いんですよ」

 険しい顔つきで先生がこちらにやってくる。

「でも、あまり大事にしたくないというか……」
「脅迫状が4日連続で届いている時点ですでに大事です」

 そのまま部屋を出ていこうとする先生の前に私は慌てて立ちはだかった。

「今丁度アンナがラウルに心当たりがないか訊いてくれているところで、そうすれば誰なのか絞り込めると思うんです!」
「ああ、それで先ほどミス・スペンサーも一緒だったのですね」

 驚く。
 確かに今ひとりになるのは危ないからとこの部屋の前までアンナがついて来てくれたのだ。
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