元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。

「でも凄いわよね、わざわざ留学して来るなんて。よっぽどセラスティア姫のことが好きだったのね。でも、好かれた理由はわからないんでしょう?」
「うん、全然。会ったこともないのに、急に婚約したいって……もうびっくり」

 前世でも今世でも、彼には驚かされてばかりだ。

「“聖女”に固執している感じだったし、その不思議な力に惹かれたのかしらね」
「……そうなのかも」

 あの頃も、聖女だと言うだけで城の外ではまるで神様のような扱いを受けていた。
 ルシアン様もその噂を聞きつけ、奇跡の力を持つ“聖女”に惚れこんだのかもしれない。

「一応訊いておくんだけど。レティ、しっかりお断りしたのよね?」
「した……はずなんだけどなぁ……」

 あの朝、彼に一緒に行こうと言われて「ユリウス先生の傍にいたいから行けません」とはっきりそう告げたはずだ。
 しかし今日のリュシアン様を見ている限り、きっと全然伝わっていないのだろう。
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