元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。


「聖剣って、例の聖女を刺すためにあったっていうアレのことよね?」

 静かな路地に入って深刻そうな顔で言ったのはアンナだ。
 私が頷くと、続けてラウルが言った。

「なんであいつ、そんなもの探してるんだよ。まさか、レティを刺すためってんじゃないだろうな」
「まさか……」

 アンナが引きつったような笑みを浮かべた。

「だが、アイツが聖剣の在りかを知って、それを入手しに行ったのは間違いなさそうだな」

 リュシアン様の言葉に私は頷く。

「問題はその場所だが……」

 彼がそう続けた、そのときだ。

「先ほどから何の話をしていますの?」
「!」

 イザベラの訝しげな顔に気付いてハっとする。
 そうだ。イザベラは聖剣のことも聖女のことも何も知らない。
 ローレン大佐の話も、彼女にとったら全く意味がわからなかっただろう。

「なんだか物騒な言葉が聞こえましたけど……なぜ先生が聖剣なんてものを探していますの?」
「えっと……」

 なんと説明すべきか頭を巡らせていると。
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