元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。

「はい! ありがとうございます!」

 心の中でやった! と歓声を上げる。
 これで本人公認で監視が出来る……!

「……そういえば、昨日言っていた痣は消えましたか?」
「え?」

 こちらに背を向けたまま、先生は続けた。

「言っていたではないですか。聖女の証がどうとか」
「あ!」

 痣のことなんてすっかり忘れていた私は、襟を少し引っ張って胸元を見下ろした。
 聖女の証である薔薇の痣は変わらずそこにあった。――けれど。

「あ、消えたみたいです。ありがとうございます。もう大丈夫です!」

 先生がこのことを覚えていてくれて、気にしてもらえただけで嬉しくて、だからこれ以上変な心配を掛けたくはなかった。

「それなら良かったです。それでは、また休み明けに」
「はい! さようなら」

 挨拶をしながら気が付いた。
 そうだ。明日は休日だ。


  ⚔⚔⚔


「え!? もうバレちゃったの?」

 部屋に戻ってから今あったことを話すと、アンナは声を上げて驚いた。

「大丈夫! なんとか誤魔化せたから」
「そ、そう……でも、明日はどうするの?」
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