元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。

「……そ、そりゃあ、そうなれたら嬉しいけど……」

 ぼそぼそと言いながら、先ほど間近に迫った先生の顔を思い出してボっと頬が熱くなった。
 もし……もし先生とそういう関係になったら、あんなことが日常的に行われるということで。

(無理過ぎるんですけど!?)

 きっと心臓が持たない……!

「――わ、私はただ先生に思い出して欲しいだけ!」
「それだけ?」
「それだけか?」

 また二人の声がハモって、私はしどろもどろに続ける。

「そ、それで……誕生日におめでとうって言って欲しい……」

 するとアンナはああっと手を打った。

「誕生日! そうだわ。レティの誕生日もうすぐだものね!」
「いや、てか本当にそれだけでいいのか?」

 ラウルにもう一度疑わし気に訊かれて私は頷く。
 
 ――そうだ。先生の恋人になりたいだなんて、おこがまし過ぎる。
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