男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される
サラは笑いながらなんだか心がほっこりして暖かく見守る。

そんなサラをカイルは抱き上げ歩き出す。
びっくりして思わず肩にしがみ付いてしまう。
「な、なんで⁉︎」

「ドレスが汚れてしまうだろ。」
何事も無いようにカイルはサラに笑いかける。
「大丈夫です。ちゃんと気をつけますから。」
恥ずかしくなって下を向く。

今日は大事な日なのに、なんでこんなに朝からドキドキさせられるんだろ…。

「今日は、ブルーノのように自由に飛び回られては困るからな。」

厩舎の真ん中まで歩いて来てやっと下ろしてもらえる。

竜達に餌を与えながらサラは幸せな気分に浸っていた。今日のカイルは忙しくて、二人だけの時間は取れないと思っていた。

「カイル様、今日は要人の警護は無いのですか?朝からこんなにのんびり過ごしてて大丈夫なんでしょうか?」

「今日の俺の任務はサラの警護だ。他は全部副団長に任せてあるから大丈夫だ。」

本当に⁉︎カイルを独り占めしてしまっていいのだろうかと心配になる。

「この日の為にずっと忙しくしていたのでしょ?」

「ショーンに全て任せる為に忙しいかったんだ。明日からはしばらく休みだ。」

「本当に⁉︎本当にお休みをもらえたのですか?」

「休みと言うか…竜騎士団を退団する事にした。」

「えっ⁉︎」
今、なんて⁉︎辞めたって事⁉︎
サラは理解できず瞬きを繰り返す。

「えっ…と、団長を、辞める、と言う事ですか?」

「そう、今日で退団する。」
サラの脳裏に、団長である彼を慕う団員達の顔が浮かぶ。

サラだってカイルと出会ってまだ三カ月しか経って無いが、彼の団長としての信頼感や人を惹きつけるカリスマ性、全てにおいて申し分無く思う。
せっかく団長まで上り詰めて、辞めてしまうなんて今までの苦労が水の泡なのでは…。

「何故、お辞めになるかお聞きしても良いですか?」
サラは震えてる声を抑えながら聞く。

「他にやりたい事が見つかった。
まぁ、元々団長になりたくて竜騎士団に入った訳じゃない。
ただ、竜と共にいたかっただけだ。」
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