男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される
沈黙を破ったのは、カイルの方だった。
「こんな場所で、聞き出す話しではないな。事を急ぎ過ぎました。申し訳ありません。」
一礼してクルッと背を向け、再びカイルは歩き出す。
遅れを取らぬ様サラも必死で着いていく。
トンネルを抜け明るい場所に辿り着く。
サラは眩しさで目が眩む。
そんなサラを思いやってか、カイルはサラの前に立ち太陽の光を遮ってくれる。
とても細やかな心遣いにサラは戸惑う。
「もしかして、ブルーノは近くにいるのですか?
先程こちらに舞い戻った時、ハクがやけに落ち着かなかったので。」
「ブルーノをご存じなのですか?
…ハク、とは?」
「ああ、以前ボルテ公爵にお会いした時ブルーノに乗らせて頂いたんです。
普通、貴族の方は他人が竜に近づく事を嫌がるのに…自分が興味深々で青い竜を見ていたからか、ボルテ公爵の方から声をかけてくれました。乗って見ないかと…。
ちなみにハクとは俺の白い竜の名です。」
「そうなんですか…。ステキな名前ですね。
…もし、よろしければここにブルーノを呼びましょうか?」
「本当ですか?ぜひ会いたいです。」
今まで冷静沈着、無表情だったカイルだが、ブルーノの話しをした時、少し口角が緩んだのが分かった。
この方はきっと、純粋に竜がお好きなんだと
サラは思う。
サラはポケットから笛を出しピーッとひと吹きする。