自信過剰な院長は既成事実を作る気満々で迫ってくるんですぅ
 その場で学友に電話して結婚式の日取りまで決めちゃって、お爺ちゃんやることが抜かりなくて早い。

 お爺ちゃんの決断力、判断力、行動力は一般人のそれとはケタ違いにずば抜けている。
 さすが巨大獣医療センターをまとめてきた人だけある。

 隼人院長もお爺ちゃんみたいな能力があるから、私たちの子はどっちに似るのかな?

 天才型の隼人院長か努力型の私か。

 お開きになりハイヤーに乗ったお爺ちゃんを二人で見送り、家までの道を歩き出す。

「お疲れ」
「お疲れじゃないですよ、びっくりしてます」
「プロポーズされたから? 俺のことを好きなんだろう、ならいいじゃないか」 

 好きだけれど、いきなり結婚話がトントン拍子で進むから。

「何度も言ってんだろう、うつむいてごにょごにょ考え込むなって」
 自然と手を握られた。

 初めて手をつないで想像ではドキドキするものと思っていた。
 違うんだ、こんなに安心するんだ。私、ひとりじゃない、こんなに頼りになる人が隣にいる。

 幸せの結婚って理屈じゃなくて、こういう肌の感触なのかもしれない。

「俺と麻美菜なら幸せになれる、保証する」

「隼人院長の隣に居れば私も周りの人も動物たちも、みんな幸せになれます」
「その通りだ」
 
「そういえば、お爺ちゃんに多き乃の大福渡していましたね。お爺ちゃんの大好物よく知っていましたね」 

「前に麻美菜が話していた」 
 そうだっけ、話したこと覚えているんだ。

「全国各地から買いに来るから大行列でしたでしょ、凄く並びました?」
「麻美菜からの情報で知っていたから早朝から出かけた」

「朝早く出かけたのは大福のためだったんですか。寒い中ありがとうございます、お爺ちゃんとっても喜んでいましたね」

 こんなに背の高いイケメンが大行列に並んでいたら、周りの方々からは眼福と思われたよね。
 
「場違いで並ぶのが恥ずかしかったんじゃないですか?」
「いや、そんなことはない。麻美菜と結婚したい一心だったから」
 照れてしまうほど真顔でまともな答えが返ってきた。

「今夜からは解禁してくれるよな?」
「なにをですか?」
「既成事実を作ることだよ、愛している人を求めることは自然な流れだ」

「私は隼人院長にとって特別な存在ってことですよね」
「俺は麻美菜にとって特別な存在だと認めてしまえよ」

 家路へ向かう細い路地で優しく肩を抱かれた。

「愛してる」
「私の方が愛してる」
 
「貧乏くじなんかじゃない、当たりくじだ」
「隼人院長が」
「麻美菜だよ」
 不意打ちキスにドキドキが止まらない。

「ときめいただろ、もう待てない、待ちきれなかった。今日までよく我慢したって褒めてくれよ」

 今夜、既成事実を阻止する自信がない。

 今夜、私は隼人院長に抱かれて、とろけちゃうほどの甘い甘い最高の夜を過ごすのね。




【了】
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