磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
「き、気になって聞いてくるくらいなら来れば良かったんじゃないの!?なんか行ったの自慢してるみたいで嫌なんだけど!」

───ああ・・・何言ってるの私・・・。こいつがそんなつもりで言ってるんじゃないのわかってるのに・・・ほんと調子狂う・・・。

「・・・いや、その、俺はお前がいると思って・・・。」

「もしかして、私が嫌がるからって遠慮したの?」

───悪いことしちゃったな。

「そうじゃなくて、俺、お前と会社以外で一緒にいると・・・。」

───変な気持ちになっちゃうんだよな・・・自分をコントロールしづらくなるような・・・しかも休みの日のこいつはすごく・・・かわいいし・・・。

「一緒にいると・・・!?」

真海は質問しかけて斜め左の席からキラキラした視線が送られているのを感じた。

見るとアシスタントの玉川が嬉しそうに、会話をする二人を見ている。

「な、何?玉川ちゃん?」

「あら~、すみません。お二人の邪魔しちゃって~。お邪魔虫は消えますので後は若いお二人でどうぞ!」

「いや、あなたのが若いでしょ!」

「では~。」

玉川はニマニマしつつランチバッグを手に出口まで小走りで行ってしまった。

「・・・わ、私もランチ行こうっと。」

真海は独り言のように言いながらお弁当を持って立ち上がった。

「お、おお・・・。」

悠馬が出口に向かう真海の後ろ姿を見つめていると、出口の手前で一瞬振り返った彼女と目が合った。

───え!?見られてた!?

真海が驚いた顔をすると悠馬はパッと顔を伏せた。

───なんで振り返るんだよ・・・。

悠馬は出口のドアが閉まる音がするまでデスクの上の書類を見ている振りを続けたのだった。
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