MINE.

確かに、本当に大事なら手を放せるはずだ。

松田が誰かと一緒になるのを、幸せになるのを喜べるはずだ。

こうしてベタベタと会いに来て、好きだと言って、松田を雁字搦めにして、わたしは何がしたいんだろう。

もう振られてるのに。

急に現実を突きつけられた気がして、鼻の奥がつーんとする。

わたしが今できるのは、松田が幸せになる未来を喜ぶ以外にない。

『手放したうえで、本当に大事なもんは手の内に残るんだと。まあだから一回くらい』
『そうします』
『ん?』
『松田を手放します』

八歳のわたしじゃない。
もう良い大人なのだから、その手を離さないといけない。

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