MINE.

お風呂から上がって化粧水をつけていると、松田が後ろのソファーに来た。ドライヤーのコードをさして、わたしの髪の毛に当て始める。

「松田さー」
「はい?」
「恋人はどうなの? いるの?」
「い……ませんけど……」

引いた顔をしている。声色でわかる。

「本当に?」

ドライヤーの音が止まった。

「絹さん」
「うん?」
「何を言いたいんですか」

直球な質問に、こちらが黙ってしまう。

「何って」
「結婚とか、恋人とか、会社だったらセクハラ案件かと思いますが」

その言葉がズドーンと頭に落ちてきた。
そんな、確かに、そうだ。

< 29 / 101 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop