大嫌いの先にあるもの
同居一日目【Side 黒須】
「オーナー、お戻りは水曜日だったんじゃないんですか?」
Blue&Devilのいつものカウンター席につくと、カウンター越しに宮本君が聞いてきた。
今日はまだニューヨークにいる予定だったが、相沢から春音がピンチだと連絡を受けて慌てて日本に戻って来た。
「ちょっと急用があってね」
カウンターの奥でカクテルを作っている春音を見た。
最近はバーテンダーの制服が似合って来た。
「それは大変でしたね。いつものでよろしいですか?」
「今夜はカクテルが飲みたい。そうだ。新人に作ってもらいたいな」
「いいですよ。春音ちゃん、オーナーが指名だよ」
宮本君に声をかけられて、春音がげっという表情を浮かべた。
相変わらず気持ちよく嫌ってくれる。
「何になさいますか?」
春音が嫌そうに僕の前に来た。
「そうだな。夏らしいのがいいな」
「ダイキリなんてどうですか?」
「作れるの?」
「作れますよ」
バカにするなって感じで睨まれる。
「じゃあ、ダイキリ」
「かしこまりました」
春音がカクテルを作り始める。シェイカーを振る手が少し危なっかしい。
「お待たせしました。ダイキリです」
カクテルグラスがカウンターの上に差し出された。ホワイトラムの白い液体が美しく輝いている。まあ、合格かな。
「いただこう」
程よい甘さと爽やかな味わいを感じていると春音が心配するようにこっちを見ていた。視線でどう?って聞かれる。
「美味しいよ」
カクテルグラスを置いて、感想を口にした。その瞬間、春音がキラキラの笑顔を浮かべた。
昼間は泣かれて大変だったが、春音は笑っている方がいい。
でも、少し疲れが見えるな。今日引っ越して来たばかりなのに、バーに出て来て大丈夫だろうか?
「何ですか?」
じっと春音を見ていると視線が合った。
Blue&Devilのいつものカウンター席につくと、カウンター越しに宮本君が聞いてきた。
今日はまだニューヨークにいる予定だったが、相沢から春音がピンチだと連絡を受けて慌てて日本に戻って来た。
「ちょっと急用があってね」
カウンターの奥でカクテルを作っている春音を見た。
最近はバーテンダーの制服が似合って来た。
「それは大変でしたね。いつものでよろしいですか?」
「今夜はカクテルが飲みたい。そうだ。新人に作ってもらいたいな」
「いいですよ。春音ちゃん、オーナーが指名だよ」
宮本君に声をかけられて、春音がげっという表情を浮かべた。
相変わらず気持ちよく嫌ってくれる。
「何になさいますか?」
春音が嫌そうに僕の前に来た。
「そうだな。夏らしいのがいいな」
「ダイキリなんてどうですか?」
「作れるの?」
「作れますよ」
バカにするなって感じで睨まれる。
「じゃあ、ダイキリ」
「かしこまりました」
春音がカクテルを作り始める。シェイカーを振る手が少し危なっかしい。
「お待たせしました。ダイキリです」
カクテルグラスがカウンターの上に差し出された。ホワイトラムの白い液体が美しく輝いている。まあ、合格かな。
「いただこう」
程よい甘さと爽やかな味わいを感じていると春音が心配するようにこっちを見ていた。視線でどう?って聞かれる。
「美味しいよ」
カクテルグラスを置いて、感想を口にした。その瞬間、春音がキラキラの笑顔を浮かべた。
昼間は泣かれて大変だったが、春音は笑っている方がいい。
でも、少し疲れが見えるな。今日引っ越して来たばかりなのに、バーに出て来て大丈夫だろうか?
「何ですか?」
じっと春音を見ていると視線が合った。