大嫌いの先にあるもの
「ウェディングドレスがよろしかったですか?」

「いえ、とんでもない!」

「サーモンピンク色のドレスを黒須様に頼まれて用意してあります。まずは衣装の確認をお願いします」

奥の部屋に連れて行かれると、そこにはウェディングドレスではなく、確かに言われたドレスがあった。

ドレスの形はAラインで、首から胸は広めに空いてて、スカート丈は足首ぐらいまである美しいドレスだった。

「綺麗……」

思わずドレスを見てそう口にした。

「立花様にお似合いになると思いますよ」

田村さんの言葉にハッとする。

「こんなに女性らしくて可愛いドレス、似合いませんよ。ウエストだって細そうだし」

「立花様も細いから大丈夫ですよ。インナーもご用意してありますから、お着替え下さい」

更衣室に入れられると、ドレスの下に着るインナーを渡された。
シルク素材の高価そうな物だった。

久しぶりに女性らしい物に触れて胸がときめく。
あの綺麗なドレスをこれから着ると思ったら、楽しみになって来た。
< 88 / 360 >

この作品をシェア

pagetop