だいすきボーイフレンド

カーテンくらい閉めようや

家へ帰ると、起きたばかりのような晴人がベージュのインナー姿のままでゲームをしてた。

バタンと閉まるドアの音にも反応しない。

本が入ったバッグを床へ置くと、初めて私の方を向く。

「おお、おかえり」
「ただいま」

私は冷蔵庫から冷やしたルイボスティーを出す。

「どこ行ってきたん」
「図書館行ってきた」
「図書館?なんで?」

コップに注いだルイボスティーの水面がたぷたぷ揺れる。注ぎ過ぎた。慎重にローテーブルまで運ぶと、ゆっくり置いた。

「この間、翔平が図書館寄って本返すって言ってたの聞いて、図書館行ってみようかなって」
「せやんな、初めて聞いたわ、涼香の口から図書館って」
「そう?高校の時から行ってたで、普通に」

晴人がじっと私を見てきた。

「ゲーム始まるで」

私は何ともなしに晴人の気を逸らしたかった。が、晴人は始まりそうだったゲームをバツンとやめる。

「そのお茶何?」
「ルイボスティー」
「るいぼすてぃー、じゃあ俺も飲も、るいぼすてぃー」

晴人はフラフラと立ち上がり冷蔵庫へと向かう。ガラスのボトルに入ったルイボスティーを適当なコップに注いでまた戻ってきた。途中一口飲んで「うま」とこぼす。

「桃の味する」
「ピーチルイボスティーってやつ」
「ぴーちるいぼすてぃー、うまい」

晴人は静かに私の隣に腰を下ろす。

社会人なのになんでパーマかけてんねやろ。
前髪目にかかってるやんか、それ社会人としてどうなん。

見慣れたはずの晴人なのに、彼氏となった途端にいろんなことが気になりだしてしまう。

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