だいすきボーイフレンド
部屋でサラダを食べながらテレビを見ていた時だった。

スマホに翔平からメッセージが届いた。

「今から部屋行っていい?」

突然の連絡に動転する。あわあわと頭が真っ白になる。

なんのこっちゃ。どういうこと?

続けてまたメッセージが届く。

「晴人からヘッドセット貸してって言われてて、涼香ん家に持ってきてって」

その文言を目にして、高まっていた緊張感がスンとほどけた。

「いいよ、持ってきて」

ゲームの機材はうちに置くなって言ってるのに、晴人はコツコツと持ってきては置いてってる。服も肌着もコンタクトの洗浄液も歯ブラシも当たり前のように置いてってる。

翔平が来たのは15分後だった。

「これ」と靴屋の紙袋に入ったゲーム用のヘッドセットを私に差し出す。

営業マンの翔平は今日平日休みだったらしい。月に4回土日勤務があるから、大体毎週平日のどこかで休みを取ってる、と前話してた。
前髪を斜めに流しただけの翔平はまだまだ大学生のようで、今日も前見た淡いピンクのTシャツを着ている。お気に入りなんやな。

「じゃ」

翔平が笑顔でそのままドアを閉めようとしたから、私は思わずドアを押さえた。

「上がってけばいいのに」
「さすがにそれは」

翔平が遠慮する。

「じゃあ駅まで送るよ」

私の提案に少し呆れたように翔平が笑う。

「普通逆やん、そのセリフ言うの」
「いや、迷子にならんかなと心配して」

私、どんだけ必死なんや。たぶん顔面がっついてる。

「じゃあ送ってもらおうかな」

翔平が負けたように笑って言った。

< 31 / 59 >

この作品をシェア

pagetop