だいすきボーイフレンド
いいよな?
いいよな、言うたかその口。

思わず二度見する。

「え、そんなん?そんな軽い?ここ?」

私は私たちを指すように、晴人と私を指差した。

「寿司のためやで、タダで寿司食えんねんで?」
「えーー嫌や、嘘でも晴人と付き合うって歴史が刻まれるのめっちゃ嫌」

私が首をブンブンと横に振ると、なぜかより大きく翔平が首を横に振った。そして真っ直ぐな眼差しで慎重に言葉を選びながら言い放った。

「涼香、これ大事なことやから涼香だけに言うで。人生でどっちか道に迷った時、楽しい方を選べ」

結論から言う。これは完全に不正だったのと、高校のみんなは本気で賭けに挑んでなかったので美味い鮨を食べに行くことはなかった。

しかし、たったこれだけで晴人と私は付き合うことになった。

なぜ私は承諾したのだろう。

寿司に釣られたのか。

否。

ただ、高校のみんなの期待を裏切りたい、それだけだった。

面白半分で付き合ってみた、ということ。

私と晴人は表面上付き合うことになった。
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