【SR】松嶋家の『殺意』


「な…なんだよ…やめろよ…
おい…正気か?落ち着け!
や、やめてくれぇぇぇ〜!!」


『もしもし!?
茂男?どうしたの!?
もしもし?もしもし亀よ!?』


 プー…プー…プー…


通話が切断された音だけが、虚し
く部屋に響く。


まだ動けずにいる茂男に向かって
包丁を突きつけている真紀子。
床には、茂男の髪の毛がパラパラと
散っていた。


「な…何のつもりだよ?
俺を殺す気か?」


我ながら情けないくらいに声が震
えていたが、そんな事に構ってる
余裕なんてない。
目の前には、髪を振り乱し、充血
した目をギラギラ輝かせた妖怪のよ
うな彼女が……


「ば〜か。
人質殺しちゃったら身代金も手に
入らないじゃない。
あんたが下手な演技してるから信
憑性持たせる為に怖がらせてやっ
たのよ。」


本当だとしても、ほんの少し本気
が入っていたんじゃ?と思わせる
程の迫力だった。


おかげで薔薇柄のトランクスに染みを
作ってしまった…
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