【SR】松嶋家の『殺意』


「じゃあ俺、帰るわ。
外も明るくなってきたし。」


紙袋を掴んで帰ろうとすると――


ずいっと右手を開いて差し出す真
紀子。


そうか。
今回の事では、色々協力してくれ
たもんな。
普段、毒舌ばかり吐いていても、
やっぱり俺の事…


茂男は感謝の念を込めて、同じく
真紀子に右手を差し出した。


しかしその手は無惨にも叩き落と
され、行き場を失う。


「な…なんだよ!?
ここは固く手を結んで頷き合う場
面じゃねぇのか!?」


「ば〜か。
そんな事してなんになるのよ?
私が求めてるのは、そんな形のな
いものなんかじゃなく、確かなも
のよ!
さぁ、今回の報酬をよこしなさい
!」


やっぱりこいつは守銭奴だ。
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