年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
『睦月さんに心配はしてなかったのですが。……ところで、綿貫が今度司と仕事をする事になって。良ければ綿貫にアドバイスしてやってくれませんか?』
「へ? 司と?」

 さっちゃんが司とは面識があるのは知っている。けど、一緒に仕事をするなんて……と正直驚いた。

『はい。急な話だったんですが、司から綿貫を貸してもらえないかと連絡がありまして。さっき綿貫に了承を貰ったところです』

 仕事にはとにかく拘りの多い司が、さっちゃんを貸して欲しいってよっぽどだ。きっとどこかで、さっちゃんのその仕事ぶりを知ったからこそ依頼したに違いない。

「そっか。でも、俺さっちゃんの連絡先知らないんだよね」

 本当は聞きたかったんだけど、ずっとタイミングが掴めず今の今まで来ている。仕事のことなら、仕事用のメールアドレスを使えばいいし、どうしても連絡を取りたければ、こうやって希海か香緒に取り次いで貰えばいいのだから。

『だろうと思って、綿貫の連絡先を睦月さんに教えてもいいか聞いておきました』
「えっ? それで?」

 何故か希海は電話の向こうで少し笑うような声になると、『いいそうです。あとで俺からメッセージ送ります』と答えた。
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