年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
「わかった! わかった!」

 そう言いながらかんちゃんの頭をゴシゴシ撫でてから立ち上がる。
 ゲージの中から餌と水を入れる皿を取り出すとキッチンとは名ばかりの流しに向った。
 その後を、かんちゃんは尻尾を振りながらついてきた。

 子供の頃からずっと飼ってみたかった犬。実家は田舎で、だだっ広い庭があったにも関わらず何故か飼わせてもらえなかった。
 だから私は一人前になったら飼おうと心に決め、ペット可の物件を選んだのだ。
 そして、去年の10月に生まれたこの子を知人から貰い受けた。
 そう。10月生まれだから、神無月でかんちゃんと私は名付けたのだった。

 私は皿を洗って、新しい餌と水を入れるとゲージに戻す。それを勢いよく食べ始めたのを見届けるとダイニングテーブルに向かった。

 料理するのはそんなに嫌いではないが、片付けるのは面倒だなぁといつも思ってしまう。
 でも世の中便利なもので、電子レンジ一つであまり皿を汚さない料理のレシピは検索すると沢山出てくる。
 今日も冷蔵庫に残っている食材で検索をかけて、何にしようかなぁと一人考えていた。
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