年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
 しばらくの間、何を言われたのか理解出来なくて、真顔で真琴の顔を見つめたあと、私はようやくその言葉の意味を理解した。

「へっ! なっ! 何言ってるの⁈」

 慌てふためく様子の私に、真琴はよりニヤけた顔をしながら口を開いた。

「だってさ、店にいる時と帰って来た時の雰囲気が違ってたからさ~。そうなんだろうなぁって」

 自分と血が繋がっているとは思えない鋭さに、こう言うところはお母さん似なんだよなぁ……なんて思ってしまう。
 私は言い逃れ出来ないと諦めて、大きく息を吐いた。

「どっちだっていいでしょ」

 私はかんちゃんにボールを転がしながら、ソッポを向いて答える。

「ってことは、上手くいったってわけだ。良かったじゃん! お互い満更でも無さそうなのに、付き合ってないって言われたからさ、睦月さんに同情してたんだけど」

 周りから見たらそんな風に見えてたのかと思うと勝手に顔が熱くなる。

「それに……お前って男苦手だったからさ、ちょっと心配だった」

 急に真琴は真面目な顔をして私に言う。

「知ってたの……?」

 まさか、長い間離れて暮らす弟に気づかれてるなんて思ってなくて、私は驚いてそう返した。

「あー……。うん。それってさ、原因は健太君なんだろ?」
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