年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
 自分の弟に会いたいと言ってくれた上、出かけようと言ってくれたことにワクワクしながら返す。

「もちろん! 何処行くか考えといてね?」

 睦月さんも、きっと同じように思ってくれているはず、とその笑顔を見て思った。

「じゃあね。また明後日。楽しみにしてる」

 睦月さんは私をそっと抱き寄せると、唇で額に軽く触れた。それだけで真冬な事を忘れるくらい顔が熱くなった。

「私も、楽しみにしてます」

 腕の中で睦月さんを見上げてそう言うと、優しく私を見ている顔がそこにあった。

 やっぱり……離れたくないなぁ……

 なんて欲張りなことを考えながら、緩んだ腕から離れて荷物を受け取った。

「おやすみなさい」
「うん。……おやすみ。さっちゃん」

 そうやって、私は結局後ろ髪を引かれながら家に帰り着いた。

「ただいま~」

 家に入ると、まだ真琴は帰っていなかった。言うほど遅い時間でもないか、と私はかんちゃんの元へ向かう。

「帰ったよ」

 ゲージを開けると、そこから飛び出して来たかんちゃんは、私を押し倒しそうな勢いで飛びついてくる。そして、尻尾をブンブン振っているかんちゃんを撫でながら私は思った。

 もっと睦月さんとかんちゃんが仲良くなってくれないかなぁ……と。
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