年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
 何事もなかったように笑いかけてくれる睦月さんを見て、少し前にあった"あれやこれ"を鮮明に思い出し猛烈に恥ずかしくなってしまった。

「……? どうしたの? さすがに今日は一緒に入ろうとか言わないからさ、ゆっくりして来て?」
「えっ! 一緒に入る⁈」

 想像もしたこともないことを言われて私が慌てたように返すと、睦月さんは楽しそうにふふっと笑って私の頰にキスをする。

「またのお楽しみね? ここにバスタオル置いてあるから。俺はリビングにいるね?」

 クシャクシャと私の髪を撫でると、睦月さんは部屋を出て行った。

 ようやく起き上がり、私はそばに置いてあったタオルを手にした。

 またのお楽しみって……そのうち一緒に入りたいってことだよね?

 考えただけで顔が熱くなる。もうすでに全身くまなく見られてるけど、明るいところとなると睦月さんを直視できないかも知れない。

 これって大人なら普通なのかな……

 自分の恋愛レベルの低さに呆れながら、私は大きく息を吐き出した。

 誰かに聞こうにも、こんな話し誰にも聞けない。けど、他の人がどうとか関係ないか、と思い直す。

 睦月さんがそうしたいなら……頑張ろう。体には、全く自信ないけど……

 そんなことを思いながら、私はベッドから抜け出した。
< 390 / 611 >

この作品をシェア

pagetop