年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
「おっ、俺は認めないからな! いくら暁さんの息子だろうが!」

 学さんと、うちの父がどう言う関係なのかはわからないけど、それなりに親密そうではある。だからと言って、さすがに俺のことを『はいそうですか』と簡単には認めてくれそうにはない。

 学さんは不機嫌そうに顔を顰めたままベッドに横になると「俺は寝る!」と布団を頭から被ってしまった。

「もう帰ろうぜ~。って言うか俺、腹減った。なんか美味いもん食べに行かないか?」

 真琴君は呆れたようにそう言って、それに美紀子さんも溜め息を吐きながら「そうね。そうしましょう?」と同意していた。そして、俺のほうを見ると、「よかったら睦月さんも、暁さんもどうかしら?」と笑みを浮かべて尋ねた。

「そうしよう? 睦月さん。私達もあんまりご飯食べてないし。それに、睦月さんのお父さんとお話ししたいし……」

 学さんのベッドを取り囲むように立っている家族の遠慮のない会話は、きっと学さんに聞こえているだろう。けどこうしていても、状況が今変わることはないだろうと、俺は黙って頷いた。
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