年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
 しみじみと真琴君はそう言いながら歩いている。真琴君は、さっちゃんと健太君の間に微妙な空気が流れてたことを察してあえて言わなかったみたいだ。

 そんな話をしながら駐車場に出ると、穏やかな春の日差しはだいぶ傾いていた。もう時間は3時過ぎ。お昼ご飯の時間などとっくに終わっている。

「じゃあ、俺は母ちゃん乗せて先走るんで着いて来て下さい。すぐ近所です。暁さんは睦月さんの後ろでいいですよね?」

 そう真琴君は父さんに話しかけている。

 これは……すでに家族ぐるみのお付き合いってやつ?

 2人のやりとりを見て俺はそんなことを思う。

「おぉ! わかった。俺はあっち停めたから」

 父さんはバイク置き場を指差した。

「もしかして、まだ乗ってたの? あのバイク」
「そりゃそうだろ」

 俺がニューヨークに行く前にすでに数年乗ってた気がするんだけど。それで関東にある家からここまで走って来たのか、と思うと父さんの行動力に多少呆れてしまう。

 ま、あとでじっくり話聞こうか……

 そう思いながら、さっちゃんが待つ車に向かった。
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