年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
 おじさんのお兄さんは奈々美ちゃんのお父さん。もうこっちの話なんて筒抜けだ。おじさんはすぐ事故のことを知ったようだ。

「心配かけてごめんね。もうすっかりピンピンしてるって。仕事にも行き始めたみたい。真琴が送り迎えさせられてて文句言ってた」

 私は、数日前に電話で聞いた家の様子をおじさんに伝える。

「そりゃ良かった。じゃ、ゆっくりしてってくれ」

 そう言っておじさんはカウンターに戻って行った。

「おじさん、事故? 大丈夫だったの?」

 明日香ちゃんは心配そうに私に尋ねる。

「うん。足を骨折したくらいであとは問題なくて。それが……会うことになった原因なんだけどね……」

 決まりの悪い返事を私が返すと、興味深々な様子で明日香ちゃんも健太も私を見ていた。

「と、とりあえず乾杯しよ?」

 私がそう言って、それに促されるように皆でジョッキを合わせた。

 そして……

「うわ、様子が目に浮かぶ!」

 次々と運ばれてくる料理に舌鼓を打ちつつ、私の話を酒の肴に飲み進めていた健太がそう言う。

「本当。想像しかできないわね」

 2杯目のジョッキを早くも飲み干した明日香ちゃんも、笑いながらそう言っていた。
 けれど、それを聞いた睦月さんは「笑えないんだけど……」と一人肩を落としていた。
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