年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
 さっき、みんなを『違う世界の人』と言っていたさっちゃんに、俺は想いを伝える。
 さっちゃんはそれを聞いて、擽ったそうに首をすくめて持っていたブーケを持ち上げ顔を少し隠す。ブーケから覗いているその顔はほんのり朱に染まっていた。

 ヒュ~、なんて俺たちを揶揄うような口笛が聞こえて顔を上げると、司はニヤニヤしながら俺を見ていた。

「お前もたいがい愛妻家とやらになりそうだな」
「そりゃもちろん! 司を超える愛妻家になるからさ。見ててよ」

 そう返して俺達は笑いあった。

「人って、変われるんだな……」
「だね。希海もそう思う?」
「もう司! 恥ずかしいから!」
「睦月さんも……」

 口々にそんなことを言っていると、向こうから武琉君と響君がやって来た。

「楽しそうだな、香緒」
「だよな。希海、なんかすっげー嬉しそうだし」

 それぞれの大事なパートナーを前に、2人は愛おしげな表情を見せてそれに答えていた。

「睦月さん」

 皆がそれぞれ会話を始めると、小さくさっちゃんが俺に呼びかける。

「何?」
「私も同じ世界にいられて幸せ」

 俺の耳元に顔を寄せ、さっちゃんは俺にそう言った。

「だね。俺もさっちゃんと同じ世界にいられて幸せだよ?」

 そう言って俺は、人目も憚らず愛しいその人の頰にキスをした。
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