年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
「さっちゃ~ん!」

 向こうから手を振ってくるのは香緒ちゃん。それに希海さんと武琉君。

「本当に本当に綺麗だよ!」

 香緒ちゃんは滅多に見ない興奮気味な様子で私の手を取りそう言った。

「ありがとう。香緒ちゃんのおかげで素敵なドレスも選べたし、メイクもたくさんアイデアもらったよ?」
「でも、やっぱりさっちゃんの腕がいいからだよ? その人に一番似合うものがわかるんだから。さすが、僕達の大事な妹だよね、希海?」
「そうだな。綿貫……いや、咲月。これからもよろしくな」

 希海さんはそう言って薄らと微笑んだ。

「みんな、これからも俺の奥さんをよろしくね!」

 それにみんな笑顔で返事を返す。ただ一人、睦月さんの隣にいた長門さんを除いて。

「なんで希海は名前呼んでもいいんだよ? 俺にはダメ出ししたくせに!」
「えっ~? 希海はいいよ。お兄ちゃんだもん。でも司はなんかヤダ」
「はぁ? 理不尽だろ!」

 そんなやりとりを、皆が笑いながら眺めていた。

 今日一日、人生で一番ワクワクして幸せな日だった。まるでここが、大好きなテーマパークになったような、そんな気がした。
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