君と見た夢のような世界、それは切ないくらいに澄んで美しく

解けていく




 自分が考えていること思っていることを伝える。

 それは親父にだけではない。


「お姉ちゃん、お兄ちゃん」


 何年かほとんどコミュニケーションがとれていないお姉ちゃんやお兄ちゃんにも同じことが言える。



 朝食後。
 ダイニングルームから出たとき。
 自分たちの部屋に戻ろうとする、お姉ちゃんとお兄ちゃん。

 そのときに思い切って声をかけた。

 私の声にお姉ちゃんとお兄ちゃんは足を止め、私の方に振り返った。


 …………。

 声をかけたものの。
 お姉ちゃんとお兄ちゃんの視線が私に向いているのを感じると。
 なんだか緊張する。

 だけど。
 そこは勇気を出して。


「今度、勉強教えてくれないかな」


 少しずつ。
 少しずつでいい。

 まずは、自分から。
 歩み寄ってみようと思った。


< 153 / 198 >

この作品をシェア

pagetop