君と見た夢のような世界、それは切ないくらいに澄んで美しく

真っ直ぐな気持ち




 朝になり。

 今、目の前に来ている。
 学校の門のところに。


 来るのは十日ぶりくらい。

 だけど、もっと日にちが経っているように感じる。



 昇降口に着き。
 そこで靴を履き替え。


 ついに……。

 教室の目の前に。


 教室の戸に手を近づけ。
 そっと触れる。

 そのまま開けようとするのだけど。
 教室の戸(それ)を開ける手が。
 少し震えている。


 緊張している。
 思った以上に。


 ……逃げたい。
 そう思ってしまう。
 こんなにも緊張していると。


 どうしよう。
 逃げてしまおうか。

 今なら。
 逃げようと思えば逃げることもできる。


 …………。

 違う。
 なんか違う。

 そうじゃない。

 ダメなんだ。
 このままでは。

 真碧(まみ)さん、加織さん、桃萌(ともえ)さん、純菜さん。
 彼女たちと、ずっと何も話し合いをしないのは。
 これから先、必ず後悔する。
 というか、すぐに後悔すると思う。


 それに。
 昨日、励まし合った。
 空澄(あすみ)、凪紗、心詞(みこと)、響基。
 みんなで『健闘を祈る』と。

 だから。
 踏み出してみる。
 勇気を出して。


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