君と見た夢のような世界、それは切ないくらいに澄んで美しく



「南瀬は何が好きなんだ?」


 那覇たち四人の好きなものやことを話し終え。
 神倉さんは私にそう訊いた。


 そう訊かれたけれど……。
 ない。
 私には。
 好きなものやこと。

 気にはならなかった、特に。
 趣味や好きなものやことが無くても。

 だけど。
 こうしてみんなの話を聞いていたら。
 気になるようになってしまった。
 趣味や好きなものやことがないことに。


 そんな気持ちになりながら何もないことを話した。

 そうしたら那覇は。
「無理につくろうとしなくてもいい。
 できたとき、それに打ち込めばいいんじゃないか」
 そう言ってくれた。


 那覇の言葉。
 それを聞いたら少しだけ気持ちが軽くなった。

 そうだよね。
 趣味や好きなものやことは無理してつくるものではない。
 自然にできるもの。

 那覇のおかげでそう思うことができた。


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