冷徹社長は幼馴染の私にだけ甘い

 凛子は震えそうになる声をキュッと喉で締め付けた。


「ふぁ、ファンクラブってなに?」
「そのまんまだよ。渋谷社長のファンクラブ! 社長ってあの通り超絶イケメンじゃん? だから社内でファンクラブがあるらしいよ。まぁ、まだ噂程度でしか聞いたことないんだけどさ。なんか学生みたいで面白いよね」 


 黒髪の綺麗なボブを希はケラケラ笑いながら掻き上げた。


「へ、えぇ〜。社長ってそんなに人気ものなんだね」


 凛子は引きつりそうになる顔を必死で取り繕う。


「まぁあの顔と若さで肩書社長ってもう最強としか言いようないもんね。クールな感じもいいって言われてるみたいだよ」
「い、イケメンだもんね〜、ははっ……」


 凛子の口からは乾いた笑いしか出てこなかった。

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