線香花火


「そうだった…。僕はあの時願ったんだ」


僕が今ここにいるってことは、意地悪な神様でも僕の願いを叶えてくれたってことなのかな。


ついつい忘れてしまっていた現実。


出来ることなら気づきたくなかった。


気づかないまま彼女のそばに居られたらよかったのに。


「かなちゃん」


そう呼んでみてもやっぱり彼女には聞こえないみたいで、僕の方を見てはくれない。


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