線香花火
「僕はかなちゃんと出会えてよかったよ」
この街に引っ越してきて彼女と出会った。
その時点で僕は一生分の運を使っていたんだと思う。
「……なに、いってるの」
微かに彼女の声が震えていた。
「かなちゃんが色々な所へ連れて行ってくれたおかげで、僕はたくさんの景色をみられた」
「まだ…、行ってないところあるじゃん…っ!」
叫ぶ彼女はもう涙でボロボロだった。
拭えないって分かっているから、僕はそのまま言葉を続けた。
「そうだね。もっとかなちゃんと一緒に色々な行きたかったな…」
デートとかしちゃって、手をつないだりもして。