冷酷・楠木副社長。妻にだけは敵わない
「もう飲むのかよ!?早くね?」

「「当たり前!」」
朱果と父親が、声を揃えて言った。

「……ったく…ちづちゃん、一口でいいから飲める?」
「うん!大丈夫!」
千鶴は、とても酒に弱い。
すぐに顔を真っ赤にするので、普段は酒を控えているのだ。

「「「「明けましておめでとう!」」」」
四人は、乾杯した。


外も暗くなり、豪勢な食事と酒に舌鼓を打つ。

「美味しい~」
「フフ…ちづちゃん、ついてる(笑)」

「あ…/////ご、ごめん…恥ずかしい////」

「可愛いなー
やっぱ女性がいると、楽しいな!」
父親が顔を少し赤くして、微笑む。

「そうだね!
ずっと、男だけだったからね!」
朱果も微笑んだ。

「お袋が死んで………
17年?か……」
朱李が、宙を見上げて言う。

「そうだな。俺が12歳で、朱李が10歳だったもんな!」

「ちづちゃんのお義父さんは?」

「うーんとね。
私が六歳の時だから……もう、23年経つよ」

「そんな経つんだ…
お義母さん、大変だったんだな!」
「うん…
でもね。全然、寂しくなかったんだよ?
お母さん、とっても明るくて元気な人だから!」

「そうだな!
さっきも、退院したばっかなのに元気だったもんな!」

「千鶴、似てるよね!お義母さんに」
「え?そうかな?」

「確かに!明るくて元気だな、ちづちゃん!」

「あ、ありがとう…///////」
朱李と朱果に、見つめられ顔を赤くする。

楠木兄弟はちょっとした有名人。
二人とも、びっくりする程にイケメンでハイスペックだ。

ただ、性格は正反対。

朱李は、冷酷で偏狭。
対する朱果は、温厚で寛容な人物だ。

千鶴と朱果は、高校の同級生。

その頃から、とても人気者だったのだ。





「━━━━━でも、まさか!朱李と結婚するとはなぁ。
俺はてっきり、朱果の嫁さんとして嫁いでくれると思っていたんだが」
父親が煙草を吹かしながら言う。

「またその話かよ!?」
「いい加減飽きたよ、父さん」
朱李と朱果が、呆れている。


「俺は別に、未練はないんだよ?父さん」


そう━━━━━━
元々は、千鶴と朱果が恋人同士だったのだ。
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