【受賞・書籍化予定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

鬼騎士団長様と乙女系カフェ

乙女系カフェ、フローラはリボンやお花、パステルカラーやレースであふれている。
 本日のテーマは、雲の中の虹と妖精。
 もちろん、店員の衣装も、その日のテーマに合わせて変わる。
 今日の衣装は、小さな羽が生えた水色のワンピースに、真っ白なエプロン。世界観を何よりも大事にしている夢空間。それが、カフェフローラだ。
 
 かわいいものが大好きなお客様であふれる店内は、早朝とあって人もまばらだ。
 そんな夢空間に、違う次元から紛れ込んでしまったようなお方が一人。

「いらっしゃいませ。本日は何になさいますか?」

 背が高く、がっしりした肩は鍛えられていることが一目で分かる。
 視線は鋭いけれど、その瞳は南の海をすくってきたような淡いグリーンをしている。
 日に焼けた肌と黒髪が、精悍な印象を与える、総合的に見ればものすごい美貌の持ち主だ。

 ……そんな街で見かければ二度見してしまうほどカッコいいお客様。
 けれど、周囲のテーブルは、いつも空席のままだ。
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